官僚の転職先としての現実的な3つの選択肢

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キャリア官僚から民間企業への転職を考えたときに、現実的な転職先はどこになるでしょうか。
官僚は、仕事の特殊性が理由で、どこの企業からも引く手あまたということにはなりません。

一言でいう弱点は、ビジネスに携わったことがなくビジネス思考が薄いことです。
そんな官僚のキャリアでも、官僚スキルをうまく活用できれば、活躍できる仕事はたくさんあります。

今回は、キャリア官僚の民間企業への転職先として、多くが転職している3つの類型を紹介します。
その3つとは、①コンサルタント、②事業会社(事業企画)、③事業会社(政策渉外)です。
それぞれの転職先で求められる能力と官僚スキルの活用の仕方をまとめます。


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①コンサルタント

官僚が転職する先として現実的に一番多いのがコンサルタントになります。

コンサルタントファームは中途入社も多いです。コンサルタントは、特定の専門知識やスキルというより、思考力などが必要とされるので、ビジネス経験がない官僚でも、思考力をベースに勝負できる余地が大きい職場とも言えます。

ただ、一口にコンサルタントといっても、ファームによってかなり幅があります。
公務員でも、官僚と警察官はまったく仕事が異なるように、コンサルタントも一口ではくくれません。
ここでは、官僚が転職しやすいタイプのコンサルタントを紹介します。

①−1 戦略コンサルタント

第一に、戦略コンサルタントがあります。企業に対して経営上の戦略をコンサルすることをメインとしています。

マッキンゼー(Mck)、ボストンコンサルティンググループ(BCG)、ベイン【通称、MBB】が一流の戦略系コンサルとして有名です。ほかにも、アクセンチュア(AC)、ドリームインキュベータ(DI)、コーポレイトディレクション(CDI)などがあります。

経営戦略として企業の経営陣を顧客とすることもあり、オペレーションが中心のコンサル(ITシステムのコンサルなど)と分けて「上流」といったりします。

一時期問題になったのが、官僚がMBA留学から戦略コンサルへ転職することです。この問題をきっかけに、留学費用の返還を定める特別法が作られ、留学後5年以内の退職者には留学資金の返済が必要となりました。

戦略コンサルに転職できるかどうかの鍵は「地頭のよさ」です。

戦略コンサルでは、官僚としての経験を直接活かせないことも多いですが、官僚として地頭がよければ十分に転職可能です。実際に、官僚から一流の戦略コンサルタントに転職している人も多いです。

戦略コンサルは、とにかく転職の難易度が高いことで知られていますが、キャリア官僚になれる学歴であれば、書類選考は突破できます。

ただ、面接は特殊なので、数字に弱い人が突破するのは困難です。
ケース面接で、売上を推定したり、顧客を増やす施策の検討をその場で試験されたりします。これらの回答は数字的な根拠をベースに推定しないといけません。

ケース面接は、数字自体の成否というよりは、勘のよさと推定の鋭さが大切です。
定性的な仕事が多く、数値的処理をほとんどしない官僚にとっては、ケース面接は相性がいい試験ではありませんが、官僚の中でも数値的処理が得意だったり、地頭がいい人にとっては、能力との親和性は高いと思います。

言い換えると、官僚のレギュラー業務に慣れている人は戦略コンサルとの親和性が低いですが、むしろ官僚のレギュラー業務が嫌いで、クリエイティブな企画などが好きなタイプには向いているかと思います。

官僚から戦略コンサルに転職した方としては、以下のような方がいます。
衆議院議員 山田美樹氏
コーポレイトディレクションパートナー 長尾行造氏

①−2 再生系コンサルタント

再生系コンサルタントは事業再生を得意としています。経営共創基盤(IGPI)が有名です。
事業の再生ということで、例えば、地方の交通会社の再生などもやっています。

公共性が高いという意味では、国家公務員からの転職としては自身の問題意識にマッチする可能性が比較的高いともいえます。

 

①−3 シンクタンク系コンサルタント

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MRI)、野村総研(NRI)、日本総研(JRI)、みずほ総研など、官公庁向けのリサーチ・レポートを手がけているコンサルタントです。

国家公務員をやっていれば、「発注側」として関わったことも多いと思います。

官公庁向けのコンサルになりますので、他のコンサルより官僚の経験は活きやすいです
シンクタンクに発注したことがある官僚なら分かると思いますが、官僚としてのレポート作成能力がほぼそのまま使えます

ただ、今までは発注側だったところ、反対側に回ることに躊躇しない覚悟は必要です。
場合によっては、かつての同僚や後輩に報告をしなければいけない立場になることもあります。

官僚からシンクタンクに転職した方としては、以下のような方がいます。
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング グローバルコンサルティング部 チーフコンサルタント半田博愛氏

その他コンサル

その他のコンサルとして、代表的なのはITコンサルです。日本にもかなりの数がいますが、残念ながら官僚スキルとの親和性は低いです。強い思いでもない限り、ITコンサルを目指すことは得策ではないでしょう。

 

②事業会社

官僚にはビジネス経験がないので、事業会社への転職は必然的に職種が限られます

②事業会社ー事業企画

商社、不動産など、企画力やプロジェクト遂行力が求められる企業に転職する官僚がいます。

この場合、官僚時代の企画力やプロジェクト遂行力が評価されるケースで、窓口・取りまとめ業務を素早くできるなどの能力は評価されないでしょう。

実際、事業会社の事業企画関係に転職している元官僚の方を見ると、タコ部屋(特定のプロジェクトを遂行するためのチーム)で民間事業に近いプロジェクトを積んだ人が多いです。

注意点としては、法案のタコ部屋経験は官僚の特殊業務に特化したプロジェクトルームなので、あまり役に立たないと思われます。それ以外の政策系や事業系のプロジェクトへの経験があれば、買われる可能性があります

また、プロジェクト経験以外では、業界の専門性を活かした転職もあります。
例えば、財務省、金融庁から金融事業会社への転職などは分野の専門性を活かした転職です。

③事業会社ー政策渉外

事業会社でも、ビジネス寄りではなく政府・自治体との折衝(政策渉外)の役割で転職する官僚もいます。

日本の大企業の場合、政策渉外担当も生え抜きの社員が担当しているケースが多いですが、ベンチャー企業、外資系企業は、政策渉外担当を専門人材として採用しています

また、日本企業でも、IT企業をはじめ新しい事業分野を開拓する企業は、法規制との間の課題も起こりやすく、専門人材を外部から採用することもあります。

実際に、DeNAや楽天などの会社のマネージャー以上には元官僚も多くいます。

DeNAライフサイエンス代表取締役社長 大井潤氏

私の経歴はすごく変わっていて、大学出てすぐ当時の自治省(現総務省)という役所に
入り、そこで17年くらいずっと地方財政をやっていました。最後のポストは消費税の引き上げ分の配分を決めたりとか、東日本大震災の復興予算19兆円のフレームを決めたりとか、非常にやりがいを感じることをやっていたんですね。充足感もありましたが、家庭の事情もあり辞めました。

メルカリ リーガルグループ マネージャー 城譲氏
霞が関→大手IT企業を経てたどり着いたスタートアップ法務の醍醐味とは。

アマゾンジャパン 渉外本部本部長 渡辺弘美氏

経済産業省出身で、現在はアマゾンジャパン合同会社にて渉外本部本部長をされている渡辺弘美氏にインタビューを行い、民間企業における政府渉外の仕事や役所との違い、キャリアチェンジにあたって参考となるお話などを伺いました。2回シリーズでお届けします。(その1)

また、2018年1月末現在でも、例えば、楽天に以下の募集があるなど、政策渉外の人材はそれなりに必要とされています。

楽天モバイル事業 - 制度・渉外
歓迎する経験・スキル
中央官庁またはそれに準じる政府機関での政策立案経験
電気通信関連業界での法務・制度・渉外業務経験
省庁との折衝経験
法律や政策立案関連資格保有者
(弁護士、司法書士、政策担当秘書 等)
Webやインターネット、電気通信、スマートフォンに関する専門的な知見・経験

その他

その他の転職先ですが、多いのは「政治家」です。また、国家公務員になったものの、地元愛が強くUターンで地方公務員になる人もいます。

ただ、政治家は一念発起して出馬する必要がありますし、地方公務員も入り直し(30歳まで)が通常なので、あまり一般的ではありません。

 

官僚の民間企業への転職先まとめ

今回は、キャリア官僚の民間企業への転職先として、①コンサルタント、②事業会社(事業企画)、③事業会社(政策渉外)を紹介しました。

それぞれの転職先で求められる能力が異なるので、自分のやりたいことに加え、自分の官僚経験をどのように活かせるか考えた上で、現実的な転職先を探すといいでしょう。

実際に転職を検討される方は、こちらの記事も参考になると思います。

元官僚が教える官僚からの転職で使うべき転職サイト・エージェントの秘訣

 

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