最近ベンチャー・新産業で話題になっているロビイスト・政策企画とは

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政策企画、ロビイストという言葉が最近話題になっているようです。

参考:
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石山アンジュ氏、ミレニアル世代の国家公務員・ITスタートアップらとイノベーション政策の検討・提言を行う組織を設立

私自身、官僚と民間の両方の経験がありますので、言われていることはよくわかります。
今は霞が関を離れ民間の立場で仕事をしていますが、儲かれば何でもいいという発想ではなく、「公益性」を大切にしています。つまり、自分が携わっている事業が、社会にどのようなプラス効果をもたらすことができるか、ということは常に意識して仕事をしています。

今日は、最近語られている、政策企画やロビイストといった仕事について、官僚と民間の両方を経験した私の考えを紹介したいと思います。


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政策形成における官僚(特に霞が関)と民間(特にベンチャー・新産業)の関係

政策とは、民間企業の事業活動の根底に影響を与えるものです。政策が何のために必要かというと、民間サービスだけでは解決できない課題に対応したり、民間サービスが与える負の側面(例えば、人々の生活水準を画期的に向上するが環境問題を発生させるサービスなど)を解決したりするためです。

したがって、政府が民間企業のニーズをうまく汲み取りながら、同時に、市場原理で解決できない課題に対して対処していくものです。

以前は、官と民の関係はかなり近いところにあり、お互いにお互いの課題を認識しつつ、持ちつ持たれつの相互関係で成り立っていたように思います。

しかしながら、現在拡大しているサービスを見ると、これまでのように政府と一体となって進めてきた産業とは異なり、先に民間の力で産業が形成され、政府の政策が後追いになっているように思います。

特に、インターネットの世界はその傾向が顕著でしょう。デジタルプラットフォームやシェアリングエコノミーサービスなど、細かい例を挙げる必要がないほど、様々なサービスが成り立っています。

このようなサービスは、外資企業やベンチャー企業が主役となっていることも多く、従来型の大企業と政府のような関係性で物事が進んでいないので、官と民の意思疎通が行われた産業新興や政策形成ができていないのだと思います。

そこで昨今生じているのは、新興サービスを提供する民間サイドと官僚(霞が関)の共通言語がないという課題だと考えられます。

よい社会形成のためには、お互いにお互いを知る必要があることは、気づき始めているのだと思いますが、距離が離れすぎており、コミュニケーションの手段が不十分、コミュニケーションの方法を知らないといった背景があるように思われます。
例えば、下記のような課題が指摘されています。

「新しい技術やビジネスモデルによって世の中は大きく変わっていくが、急激に産業構造を大きく変えてしまうと、危険な部分もある。そうすると、新しい規制が生まれる。今後出てくるであろう規制に対して、企業や業界はどう対応するべきなのかを考え、新しいビジネスがきちんと発展できるように公共的な環境を整えるのが我々ロビイストの役割です」(マカイラ藤井さん)
ベンチャー界隈に「ロビイスト」が増える理由 —— 新産業には「ルールメイキング思考」が必要だ

そこで、最近では、ロビイングの重要性が再認識されています。
もっとも、ここで語られるロビイングというのは、従来型の利益誘導ではなく、新サービスが公共性を踏まえた上で、展開してける政策を実現するための合意形成のプロセスだと考えられます。

下記の記事にある、ロビイング2.0という概念が割としっくりくるのかもしれません。

”ロビイング1.0=自分たちの業界の利益獲得のために、政治と行政へ働きかける(=陳情)
ロビイング2.0=一つ上の理念(公益)を掲げ、PR、全てのステークホルダーを巻き込んで社会全体に働きかける(=ファンづくり)”
ベンチャー界隈に「ロビイスト」が増える理由 —— 新産業には「ルールメイキング思考」が必要だ

つまり、昨今言われているロビイストとは、新産業・ベンチャーと政府の間にたち、さながら、仲介者(Intermediator)の立場として、お互いの利益に合致するような結論を導いていく役割になるかと思います。

例えば、不動産の世界では、仲介者の概念があります。不動産オーナーと買い手(一般消費者の場合)は、お互いに接点を持っておらず、知識や能力も異なります。しかしながら、物件を貸したい、物件を借りたいというニーズは存在しており、これをマッチングさせることが全体の利益に繋がります。

このように、ロビイストとは、政府と新産業という、極端な両方を結ぶコミュニケーションの役割を担っているといえるでしょう。

ロビイストに必要な能力

では、ロビイストに必要な能力とはなんでしょうか。
第一に政策を理解する能力だと思います。

この点については、下記と同じだと思います。

許認可や届出制、法制度などリーガルな分析と対案としての立法案が出せる、霞が関の法律職のような能力が必要で、それができないと話にならなかったりします。
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また、政策形成は政策知識だけで成り立つわけではありません。
法律をはじめとした政策知識は大前提ですが、政策を左右する他の要素も知っていなければなりません。

例えば、政治や世論は政策に大きな影響を与えます。ときに、法令的に無理筋の政策が行われることもありますが、まさに、政策が政治や世論の影響を受けているということです。官僚が純粋に課題をじっくり考えて、法令化して政策ができているというより、外部的要因に左右されながら政策が形成されている証拠です。

つまり、法律だけ知っていればいいわけでなく、政治も知っていなければいけないし、メディア、マーケティングなどもある程度知っていなければいけません。

手法としても、直接役所と正面から議論するだけでなく、ネゴシエーション、政治的プレッシャー、メディアやインフルエンサーによる世論への影響など、複数の観点を考えないといけません。

この点については、一般的にあまり理解が進んでいないものと思われます。

通常の会社では、法務担当や広報担当が、基本的な会社のコーポレート機能として存在します。一方、政策担当というのは必要性がわかりづらいのか、存在している会社がそもそも少なく、法務や広報がなんとなく政策の仕事を兼務している場合が多数です。

特にベンチャー企業であれば、会社の初期段階では必須の機能を備えることが重要で、必要性がわかりづらい政策担当という役割を雇うのはなかなか難しいと思われます。

実際に転職サービスの「職種」のカテゴリーを見ても、「経営企画」「法務」「広報」といった職種ははっきりしていますが、「政策」といったカテゴリーはありません。
(まれに「渉外」といったカテゴリーはありますが、「政策渉外」というよりセールスの職種として記載されています。)

さらに、専門性が不明瞭な様々な領域を跨いだ戦略を求められるため、各種領域にまたがる能力をうまく使い分けることができる人材が必須であり、この点が、政策担当の存在を難しくしているのかもしれません。

しかしながら、間違いなくニーズは存在するので、新産業が世の中に大きな影響を与えるような状況が続く限り、しばらくは、「政策」担当の必要性自体は継続すると思います。

自社でそのような担当を雇うことが難しい場合、専門ファームに委託して対応してもらうケースもあるようです。

霞が関に働いている人で転職を検討している人は、このような「政策企画」的な仕事を検討するのもありかもしれません。

参考:官僚の転職先としての現実的な3つの選択肢

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