公務員転職活動(在職中求職活動)の禁止(規制)のまとめ

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公務員転職活動(在職中求職活動)の禁止規制があり、転職活動をする前には、規制内容を事前に把握しておかないと、後で法律違反になる可能性もあります。
特に、課長補佐以上の場合、規制が適用されます。大きく分けて、転職活動前の規制と転職後の規制がありますが、今回は、転職活動前の規制を紹介します。

転職活動が違法行為にならないよう、規制内容を網羅的に事前に把握しておきましょう。

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公務員の転職活動前・転職活動中の規制(在職中求職活動の規制)の概要

・課長補佐以上の場合、再就職規制(国家公務員法)がかかるので、要チェック。
・一番問題になりそうなのは、在職中の求職活動規制であり、職務に関して利害関係を有する企業等に履歴書等を送ると違反になりうる。

※総合的なマニュアルはこちらに掲載されています。
国家公務員が知っておかなければならない再就職に関する規制

※また、在職中の求職活動規制は、以下が参考になります。
国家公務員の再就職規制等

公務員の転職活動前・転職活動中の規制(在職中求職活動の規制)の概要

まずは概要として、根拠条文を見てみましょう。

◯国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)
(在職中の求職の規制)
第百六条の三 職員は、利害関係企業等営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)に対し、離職後に当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束してはならない
2 前項の規定は、次に掲げる場合には適用しない。
一 退職手当通算予定職員(前条第四項に規定する退職手当通算予定職員をいう。以下同じ。)が退職手当通算法人に対して行う場合
二 在職する局等組織(国家行政組織法第七条第一項に規定する官房若しくは局、同法第八条の二に規定する施設等機関その他これらに準ずる国の部局若しくは機関として政令で定めるもの、これらに相当する行政執行法人の組織として政令で定めるもの又は都道府県警察をいう。以下同じ。)の意思決定の権限を実質的に有しない官職として政令で定めるものに就いている職員が行う場合
三 センターから紹介された利害関係企業等との間で、当該利害関係企業等又はその子法人の地位に就くことに関して職員が行う場合
四 職員が利害関係企業等に対し、当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束することにより公務の公正性の確保に支障が生じないと認められる場合として政令で定める場合において、政令で定める手続により内閣総理大臣の承認を得た職員が当該承認に係る利害関係企業等に対して行う場合
3 前項第四号の規定による内閣総理大臣が承認する権限は、再就職等監視委員会に委任する。
4 前項の規定により再就職等監視委員会に委任された権限は、政令で定めるところにより、再就職等監察官に委任することができる。
5 再就職等監視委員会が第三項の規定により委任を受けた権限に基づき行う承認(前項の規定により委任を受けた権限に基づき再就職等監察官が行う承認を含む。)についての審査請求は、再就職等監視委員会に対して行うことができる。

在職中の求職活動規制の対象となる職員(職位)

上記のうち2項は規制の対象とならない例外の規定ですが、2号の「意思決定の権限を実質的に有しない官職」以外はほとんど当てはまらいため、割愛します。

「意思決定の権限を実質的に有しない官職」は、政令で、「国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)第二条第二項各号に掲げる職員以外の職員が就いている官職」とされています。

◯職員の退職管理に関する政令(平成二十年政令第三百八十九号)

(意思決定の権限を実質的に有しない官職)

第七条 法第百六条の三第二項第二号の意思決定の権限を実質的に有しない官職として政令で定めるものは、国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)第二条第二項各号に掲げる職員以外の職員が就いている官職

これでは分からないため、国家公務員倫理法を読んでみます。

政令で書いてある国家公務員倫理法第2条第2項各号では、「本省課長補佐級以上の職員」とされています。そして、その「本省課長補佐級以上の職員」とは、「行政職俸給表(一)の職務の級五級以上の職員」とされています。

つまり、5級以上の職員は課長補佐級以上ということで、規制の対象になるということです。実際は、キャリア官僚ではあれば、6、7年程度で課長補佐になりますので、級としては3級の課長補佐などはたくさんいます。

しかしながら、法律上の整理としては、課長補佐という部分は同じですので、3級であろうが、5級であろうが、課長補佐級以上は、在職中求職活動規制の対象になります

逆に言うと、係長以下であれば、「意思決定の権限を実質的に有しない官職」として、在職中求職活動規制の対象となりません

◯国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)
(定義等)
第二条 (略)
2  この法律において、「本省課長補佐級以上の職員」とは、次に掲げる職員をいう。
一 一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号。以下「一般職給与法」という。)の適用を受ける職員であって、次に掲げるもの(ト又はチに掲げるものについては、一般職給与法第十条の二第一項の規定による俸給の特別調整額の支給を受ける者に限る。)
イ 一般職給与法 別表第一イ行政職俸給表(一)の職務の級五級以上の職員
ロ~ヨ (略)
二~五 (略)

在職中の求職活動規制の対象となる対象(行為)

次に行為について見ていきましょう。条文を再度掲載します。

◯国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)
(在職中の求職の規制)
第百六条の三 職員は、利害関係企業等営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)に対し、離職後に当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束してはならない

2項 (略)

大きく分けて4つ掲載されています。典型例としては、

・「自己に関する情報を提供」→履歴書の送付等が該当するでしょう。

・「当該地位に関する情報の提供を依頼」→求人票の問合せが該当するでしょう。

・「当該地位に就くことを要求」→面接で入社させてほしいという入社意思を示すことも該当しそうです。

・「約束」→内定受諾が該当するでしょう。

ということで、通常の転職活動は、ほぼ在職中求職活動禁止の行為に該当してしまいます

そこで、ここで重要になるのが、利害関係企業等の範囲です。

 

在職中の求職活動規制の対象となる対象(利害関係企業等)

利害関係企業等は、政令で規定されています。

◯職員の退職管理に関する政令(平成二十年政令第三百八十九号)
(利害関係企業等)
第四条 法第百六条の三第一項の営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものは、職員が職務として携わる次の各号に掲げる事務の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
一 許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等をいう。以下同じ。)をする事務 当該許認可等を受けて事業を行っている営利企業等、当該許認可等の申請をしている営利企業等及び当該許認可等の申請をしようとしていることが明らかである営利企業等
二 補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第二条第一項に規定する補助金等及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十二条の二の規定により都道府県が支出する補助金をいう。以下同じ。)を交付する事務 当該補助金等の交付を受けて当該交付の対象となる事務又は事業を行っている営利企業等、当該補助金等の交付の申請をしている営利企業等及び当該補助金等の交付の申請をしようとしていることが明らかである営利企業等
三 立入検査、監査又は監察(法令の規定に基づき行われるものに限る。以下「検査等」という。)をする事務 当該検査等を受けている営利企業等及び当該検査等を受けようとしていることが明らかである営利企業等(当該検査等の方針及び実施計画の作成に関する事務に携わる職員にあっては、当該検査等を受ける営利企業等)
四 不利益処分(行政手続法第二条第四号に規定する不利益処分をいう。以下同じ。)をする事務 当該不利益処分をしようとする場合における当該不利益処分の名宛人となるべき営利企業等
五 行政指導(行政手続法第二条第六号に規定する行政指導のうち、法令の規定に基づいてされるものをいう。以下同じ。)をする事務 当該行政指導により現に一定の作為又は不作為を求められている営利企業等
六 国、行政執行法人又は都道府県の締結する売買、貸借、請負その他の契約(以下単に「契約」という。)に関する事務 当該契約(電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付として内閣官房令で定めるものを受ける契約を除く。以下この号において同じ。)を締結している営利企業等(職員が締結に携わった契約及び履行に携わっている契約の総額が二千万円未満である場合における当該営利企業等を除く。)、当該契約の申込みをしている営利企業等及び当該契約の申込みをしようとしていることが明らかである営利企業等
七 検察官、検察事務官又は司法警察職員が職務として行う場合における犯罪の捜査、公訴の提起若しくは維持又は刑の執行に関する事務 当該犯罪の捜査を受けている被疑者、当該公訴の提起を受けている被告人又は当該刑の執行を受ける者である営利企業等

総合すると、許認可・補助金などの当該企業の利益になる業務に従事している場合、検査・不利益処分・行政指導などの当該企業の不利益になる業務に従事している場合は、相手先の企業が利害関係企業等に該当することになりそうです。

もう少し噛み砕いて言えば、何かの事業を所管する立場にある場合、その事業に関する民間企業に転職することは、在職中求職活動規制との関係では、限りなくアウトに近いと考えられます。

法律違反にならないように、この在職中求職活動規制は、転職活動開始前にしっかり確認しておきましょう。ある程度常識的な内容にはなっていますが、意図せずに違反していては元も子もありません。

公務員の転職活動後の手続

公務員の転職後の規制は別にあるのですが、ここでは、転職活動終了後に内定をもらったときにしなければいけない手続だけを簡単に解説します。

(転職後の規制については別記事で整理することにします。)

内定後の手続としては、任命権者に届出をしなければなりません。届出をするだけですので、本当にただの手続で、事務的に書類を書いて提出しておけば問題ありません。

ただし、内定直後の段階では、直属の上司や人事担当にしか話をしないのが普通ですので、これらの事務的な手続についても、通常の庶務担当ではなく、直接人事から指示される形が多いと思います。

◯国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)

(任命権者への届出)

第百六条の二十三 職員(退職手当通算予定職員を除く。)は、離職後に営利企業等の地位に就くことを約束した場合には、速やかに、政令で定めるところにより、任命権者に政令で定める事項を届け出なければならない。

2 前項の届出を受けた任命権者は、第百六条の三第一項の規定の趣旨を踏まえ、当該届出を行つた職員の任用を行うものとする。

3 第一項の届出を受けた任命権者は、当該届出を行つた職員が管理又は監督の地位にある職員の官職として政令で定めるものに就いている職員(以下「管理職職員」という。)である場合には、速やかに、当該届出に係る事項を内閣総理大臣に通知するものとする。

◯職員の退職管理に関する政令(平成二十年政令第三百八十九号)

(任命権者への再就職の届出)

第二十六条 法第百六条の二十三第一項の規定による届出をしようとする職員は、内閣官房令で定める様式に従い、任命権者に届出をしなければならない。

2 法第百六条の二十三第一項の規定による届出をした職員は、当該届出に係る第四項第三号及び第五号から第九号までに掲げる事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を任命権者に届け出なければならない。

3 法第百六条の二十三第一項の規定による届出をした職員は、当該届出に係る約束が効力を失ったときは、遅滞なく、その旨を任命権者に届け出なければならない。

4 法第百六条の二十三第一項の政令で定める事項は、次に掲げる事項とする。

一 氏名

二 生年月日

三 官職

四 再就職の約束をした日

五 離職予定日

六 再就職予定日

七 再就職先の名称

八 再就職先の業務内容

九 再就職先における地位

十 求職の承認の有無

十一 官民人材交流センターによる離職後の就職の援助(以下「センターの援助」という。)の有無

5 第二項又は第三項の規定による届出を受けた任命権者は、当該届出を行った職員が管理職職員である場合には、速やかに、当該届出に係る事項を内閣総理大臣に通知するものとする。

(参考)実際に転職を検討される方は、こちらの記事も参考になると思います。
元官僚が教える官僚からの転職で使うべき転職サイト・エージェントの秘訣

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